WORK
週刊ポストのイラストレーション10
小学館週刊ポストの短期集中連載イラストカットを
描いた第10回の号が発売になりました。
政治経済の難しい内容をユーモアを交えて描いて欲しいという
とっても楽しいお仕事です。
以前10年以上、EXAMINER誌で時事放談イラストカットを
やっていたので、こういうの、実は得意です。
今回は「軽減税率について」でした。
折しも先週から今週にかけ、自民、公明両党の税制調査会が
大幅に合意をしたところで、
これから膨大な数の品目を適用か否か、
つまり8%か10%か、リスト化していくことになります。
加工しているかどうか、といったって、どの段階を加工というのか、
だけで天と地の差があります。
そうするとカバーしきれない細かな部分はグレーゾーンとなって、
キャラメルに玩具のオマケが付くのは10%だけど、
玩具のオマケにキャラメルが付くのは8%だとか、
もはや落語のような世界です。
今は厳しくなりましたが、昔ワゴン車を陸運局で登録するときに
蛇口や簡易ベッドなどをその時だけ簡易的に付けて
介護用やキャンピングカーとして税金がものすごく優遇される
8ナンバーを申請するというのがありましたが、
グレーゾーンすれすれの新しい商売なども出てきそうです。
また、それぞれの項目の業界にとっては適用かどうかは死活問題です。
そこには新しい利権の匂いもしたりして…。
やると決めたのなら、とにかくオープンにやってもらいたいですね。
この原稿のイラストを描いた時点ではまだ細かなことは
何も決まっていませんでしたので、既に軽減税率が導入されている
欧州を参考に、ドーナツ屋を例に描いてみました。
とはいっても欧州で導入されているのはフランス、ドイツなど約半分の国。
またその区分や程度も細かく違います。
それを8%と10%に置き換えて、ドーナツをテイクアウトすれば8%、
店内で食べると10%、ドライブスルーは8%、仕入れや売掛の帳簿は
8%と10%が混在してとにかくたいへん、というようすをイラストで表現しました。
とにかく、今後私たちはお金を支払う際にいちいち、
8%なのか10%なのかを考えることが当たり前になっていくということです。
そしてそれは妥当なのか?ということも。
それは、「10%かあ〜じゃあやめておこう」ともなりかねなく、
実際に欧州の軽減税率の存在する国の人たちは、
生活に本当に必要なものをその都度必要な分だけ購入するという、
エコやロハス的な考え方につながる意識を持っている人が多いそうで、
それは良いことだと思うのですが、
デフレ脱却、購買を増やそう、高くても良質なものを買おう.
という路線とは真逆な気もして、
また市場や国民の意識が縮小してデフレ傾向になってしまわないか、
そしてそこに増税による買い控えも加わってさらに景気が
冷え込むことにならないか、なんて、そんなことを考えてしまいます。
まあ、現時点では増税が決まったわけでは無く、この1年様子見です。
でも、来年は参議院選挙があります。それが終わるまで、
あんまり増税のことは言えません。