時事☆放談
時事☆放談『泣かないで、ブルゾンちえみ』
日本一のピン芸人を決めるR-1ぐらんぷり2017。
優勝を飾ったのはアキラ100%(また脱いで売れた芸人がひとり)。
ザ・宴会芸とも言うべき素っ裸に銀お盆という伝統芸で、
使い古されたネタながらとても面白かった。
年末のガキの使いSPの使い笑ってはいけないで
アキラ100%は俳優の原田龍二と「丸腰デカ」でコラボ、
今回R-1で敗者復活のサンシャイン池崎は斎藤工とコラボし
けっこう話題になったので覚えている人もいるだろう。
どっちもすごかった(俳優の方がね)。
(個人的には西岡徳馬の乳首ドリルがいちばん面白かった。
毎年あの芸達者ぶりはなんなん!?)
R-1はM-1やキングオブコントと違って、ある程度の知名度がないと
決勝のステージに立つことは難しい傾向にある。
全くの無名でノーマークが勝ち上がっていくのは難しく、
ある程度売れているコンビの片方か、すでに名も売れていて実力のあるピン芸人ばかりだ。
ピン芸や漫談は初見に弱いということだろうか。
ダウンタウンの松っちゃんがR-1チャンピオンはネタ見せ番組が減って
トークやひな壇主体の今のテレビでは継続して何年も売れていくことは
とても難しいと言っていたけれど、
たしかにR-1歴代チャンピオンでよくテレビに出ている人はほんの一握りだ。
ネタが強いと営業で稼いでいるのもあるだろうけれど。
コンビで売れる足がかりとして、キャラを開発して参戦する者も珍しくない。
R-1は今やM-1やキングオブコントとはまた違った、コンビやピン芸人、
一発狙いや再ブレーク狙いなど、色〜んな思惑が交差する、
群雄割拠でカオスなコンテストになっている。
今年の決勝ステージメンバーは正月のナイナイのおもしろ荘やガキの使い新年会で
ウケていたメンツが多かった。
中でもおもしろ荘で優勝して年始から急に露出が増えたのがブルゾンちえみだ。
年末くらいからガンガンに来ていた平野ノラと入れ替わるように今年に入って
露出が急上昇。後輩のブリリアンというイケメンコンビと共に
「ブルゾンちえみwithB」として活動し、結構好きだなと思っていた。
余談だけれどアメトーーク!の企画プレゼン大会「アメリカにかぶれている芸人」で
(このときはなぜかwithBじゃなくて謎の外国人。あっアメリカにかぶれているからか!)
海外ドラマ「ゴシップガール」が好きだと言っていて、ゴシップガールといえば
昔観ていた女子高校生探偵「ヴェロニカ・マーズ」主演のクリスティン・ベルが
ナレーションをやっているっていう印象しかなかったけれど、
ちょうどAmazonプライムであったので観てみたらハマってしまって
現在シーズン2を観ているところ。
ブルゾンちえみはフリートークも面白いけれどなんとまだ芸歴2年目だという。
じゃあ後輩のwithBことブリリアンは1年目?
渡辺直美のように女性に好かれそうな、なんともいえないいい感じの
雰囲気があるなと感じた。おそらく全国的にお笑い好き人口は女性の方が多い。
同じくR-1決勝に3年連続で進出したゆりやんレトリィバァもまだ芸歴は4年ほどだ。
大阪NSC在学中から「すげえ逸材がいる」と言われていて、
NSCを主席で卒業したころから関西ではテレビによく出ていた。
シュールだけれど間が良くて度胸もあって、愛嬌もある。
最初は山田花子の再来と言われていたけれど、花子はジミーちゃん的な方向で、
僕は鬼才友近に近いなと思っている。
先日、R-1の少し前に行われた関西ではそうそうたるメンツが
過去に賞を獲っているNHK上方漫才コンテストで優勝している。
将来、全国区で活躍する女芸人だろう。
端から見れば順調に来ていると思えるゆりやんレトリィバァだけれど
先日の人生が変わる1分間の深イイ話でブレイクした同年代(芸歴は違うけれど同い年)
であるブルゾンちえみに正直嫉妬してしまう、とライバル視を明かし、
楽屋に挨拶に来たブルゾンちえみが流れでネタをその場で披露することになり、
悔しいけどオモロイ、とゆりやんが涙をにじませる姿が印象的だった。
メイプル超合金のカズレーザーがあれだけブレイクして、おそらく
今後も残るだろうと言われている(おめえ誰だよ)理由のひとつとして、
度胸強さや自己肯定感の高さにあるのではないかと思っている。
いつも堂々としていて、笑顔でなんでも余裕な感じで受け返し、
自分のセクシャルな部分や(言い回し成宮くんか)人生観などをしっかり認めている。
観ていてミョ〜に安心感があるのだ。安心感が好感度につながっている。
近年今売れている芸人やタレントも、そういった画面に安心感があって、
あたふたしているよりもドッシリ安定感のある人が
視聴者に受け入れられている気がする。アドラー心理学が再評価されたり、
世間はテレビやお笑いに安心感を求めているのではないだろうか。
ブルゾンちえみの印象はそれと近い、安心して観ていられるイメージだった。
デビューして割とすぐに世に出て、舞台度胸もあって、トークも返しもうまくて、
しかも年明けからブレイクして今このタイミングでのR-1。
もしかしたら優勝あるんちゃう? と思っていた。
(レイザーラモンRGはもうええって、いつまでやるねん! 〜からの繰り返しの面白さ、
という笑いだから優勝しない方がオイシイし、
ゆりやんも笑い飯的にずっと決勝って言う方が長期的に出番が増える。
いずれも「あえて」の笑いなので関西でめっちゃ受けても全国で万人に受けるかは
分からない。でも笑い飯も最後の最後に優勝したからな〜。)
…なんかとりとめもなくめっちゃ長くなってしまった。お笑い好きなので。
今日の時事☆放談。
R-1決勝の大舞台でブルゾンちえみがネタを飛ばした。
ピン出場なのでwithBはいない。ひとりだ。
こんなときコンビだと相方がフォローしたり、なんならそれをイジって
アドリブのライブ感ある笑いにできるのだが、ピンはキツい。
劇場や営業で何百回もやったネタや、もう十何年やっているネタなら
何かうまい持って行きかたがあったのかもしれないけれど、
芸歴2年がここで響いた。
とはいえ、一人バージョンなのでネタも新しく下ろしたのか
昔からのものなのか分からないけれど、とにかくほとんどの観ている人にとって
初めて見る新ネタだったと思う(その他の出場者のネタはほとんど全部、
今まで観たことあるものだった)。
ちょっとリズムを崩したなと思っても、そのままそういうものだと
押し通しても、ほとんど分からなかったのではないかと思う。
審査員が票を入れる結果発表の前に、MCの雨上がり決死隊の宮迫博之に
「withBがおらんかったけど」と声を掛けられてこらえきれず号泣した。
『めっちゃネタ飛ばしちゃった~』って。ちょっとこっちもグッときた。
女の子だし、芸に対してまっすぐでとても好印象だけれど、もしあのとき
そのまましれっと笑いに変えていたら点数はどうだったんだろうか。
宮迫はそういうつもりで、やさしさでひと笑い取らせるために振ったように見えた。
結果初戦敗退になってしまったが、なんにせよ、放送終了後から
応援の声が続々と寄せられ、普段あれだけ厳しくてギスギスしている
Twitter上であんなに暖かいことばがあふれているのを久々に目にした。
たぶんみんなグッときたんだと思う。
フォロワー数も翌日には一気に5万増だった(もともと29万だったけれど)。
自分の好きな笑いとしてはRG、ゆりやん、おいでやす小田だったけれど、
ブルゾンちえみ、よかった。泣かないで、笑って欲しい。
笑って、みんなを大いに笑わせてもらいたい。
ゴシップガール、最終シーズンまで必ず観る(何の宣言やねん)。
ちなみにwithBは舞台裏で応援していたらしい。
ちなみにちなみに。雨上がり決死隊の宮迫が
R-1の前日に収録した「行列ができる相談所」で
ブルゾンちえみwithBがネタを披露し、R-1とまったく同じところで
ネタを飛ばしていたことを明かしたそうだけれど、
だとしたら、余計せつないな〜。
あそこ気をつけないと、飛ばさないように、って念を入れていただろうから、
それなのに同じところで…。ネタ覚えるのは当たり前、笑いも取って、
時には場を読んでアドリブまで。芸人って、すごいなあと
改めて思った。
追記:
第47回NHK上方漫才コンテストでゆりやんレトリィバァが
男女を通じて大会初のピン芸人として優勝したことについて、
漫才コンテストちゃうんかいという声が一部で上がっていたことに
ハイヒールのリンゴ姉さんが言及している。
とっても読みやすい文章で、理路整然としていて、
後輩愛やお笑い愛にあふれた素晴らしい意見だと思った。
リンク:
審査員のリンゴが語る「NHK上方漫才コンテスト」でのピン芸人優勝論争
(デイリースポーツ 3/5(日) 17:00配信)