お手紙に付けたイラストレーション

毛馬桜之宮公園、桜のトンネルを走った朝

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【お手紙に付けたイラストレーション37】

請求書のお手紙に付けたイラストレーション。

 

本当はお会いしていろいろお話ができればいいいのですけど、

普段なかなかお会いできないので、せめてこうやって

感謝の気持ちを図柄にして表現しています。(どこがや!)

本当にいつもお世話になっております。

 

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桜の季節になるといつも頭に浮かぶ桜のシーンがあります。

 

真っ白な朝の日差しと冷たい朝の空気。聞こえるのは自分の息づかい。

スローモーションのように四方八方に降り注ぐ白い桜吹雪。

動じずにその中をかき分けて、ただひたすら前に向かって自転車をこぐ自分。

美しい。美しすぎて、一瞬どこにいるか分からなくなるくらい…。

 

大阪湾へ流れ込む一級河川、淀川へ大阪市内を流れる大川が

合流する毛馬には巨大な水門があります。

いくつかの川が合流して琵琶湖から京都を通って大阪まで運ばれる

この水が無ければ我々大阪人は生活ができません。昔から大切な川です。

 

水門の門壁には「毛馬こうもん」と大きく描かれてあって、

横目で見ながら、これは小学生が喜ぶだろうなあ、と思っていました。

 

淀川の毛馬の河川敷から桜ノ宮まではサイクリングコースになっており、

その両側は桜並木。桜の季節は本当に圧巻で、見事です。

僕はこれ以上の桜の舞を観たことはありません。

 

細い小径を両側から桜の木が空も見えないほど

白桃色に覆いつくした桜のトンネルに

後ろの淀川の土手と右側の大川からの強い風に舞った桜の花びらが

これでもかというくらい、縦横無尽に降り注ぎます。

地面は降り注いだ花びらで桜のじゅうたん。自転車のタイヤが

進む度にさらに花びらを舞い上げます。

 

10年以上前、淀川の河川敷のサイクリングコースを実家から

大阪市内の会社まで30km〜40kmを2時間以上かけて通勤していたころがありまして、

仕事は忙しく徹夜か、早く終わっても終電近くまで毎日働いていたことを考えると、

深夜に帰宅して風呂に入って数時間休んだらもう出ないと間に合わないので、

よくもまあ倒れなかったなと今考えると恐ろしいですが、

若くて体力もあったのでしょうね。半年以上頑張りました。

 

当時、高校から13年にわたる交際が突然終わりを迎え、

死ぬほど落ち込んで抜け殻になっていた僕を励まそうと、

中学からの親友の誘いで始めました。

とにかく何も考えずにひたすらペダルを漕げ、と。

(もしくは今すぐ休みを取り列車の切符を取って富士山に登れとも

言われましたが、自転車通勤を選択しました^^;)

 

彼とは実家も近く、勤め先の会社も近所で、

道を教えてもらうために初日だけ一緒に走ってもらい、

ストイックな彼の速いペースについて行けなくて、

背中を追いかけて必死にペダルを漕いだのを覚えています。

全身筋肉痛、両腕はタイヤの振動で半日けいれんが続き、

とてもくたくただったけど、抜け殻の僕には思い切ったショック療法が必要で、

走っている間は何もかも忘れさせてくれて、気分爽快でした。

 

長距離用のロードバイクなんて持っていなかったので、実家に眠っていた

無印良品のかごの付いた重たいマウンテンバイクで必死に漕いでいました。

しばらくしてその彼が新しいロードバイクを買うから今まで乗っていたものを

譲ってくれ、その時に、

「春まで頑張れ。春になったらどうしても観せたい景色があるねん」

と言われたのです。

 

学生の時分から熱い男でちょっとクサい台詞を吐くところがある男なので、

ふーん、と返事をして忘れてしまっていたのですが、凍てつくような冷たい冬の河原を

走る日々が続き、寒さが次第にやわらいで土手に春の兆しが見え始め、

 

そして桜の季節になったころ、僕は彼が言っていた見せたいものが

なんだったのか、すぐにわかりました。

それが冒頭の、毛馬桜之宮公園の桜のトンネルです。

 

…すごかった。夢の中のようだった。

 

自転車通勤はその年だけで、翌年からは辞めてしまったので

桜を観たのはその年だけです。

 

あれから10年以上たって、今は大阪市内に住んでいて

もう早朝に淀川を走る理由は無いですが、

 

春になるといつもあの夢のようなイメージが浮かびます。

もしかしたらあの年も申年だったかも知れない。

そうだとしたら、もう12年前ですね。

 

僕たちの実家の辺りも大阪では桜の名所としてかなり有名なところなのですが、

それよりも箕面の桜よりも、万博公園の桜よりも、長岡の天神さんの桜よりも、嵐山の桜よりも、

あの桜の小径は僕にとって、特別な思い出です。

 

最近、縁あってロードバイクを譲っていただいたので(もらってばっかりやな)、

またあの河川敷に走りに行こうと思っています。

 

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