時事☆放談

時事☆放談『やったー2連覇金メダル!とびつくプーさん!ありがとう羽生選手』

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今日の時事☆放談。

 

平昌オリンピック・フィギュアスケート、男子フリープログラムで羽生弓弦選手が

66年ぶり2大会連続金メダルを獲得した。

 

陰陽師の衣装をまとった羽生結弦選手が万感の表情で演技を終え、

会場から割れんばかりの声援と、無数のくまのプーさんのぬいぐるみが

次から次へリンクへ投げ込まれたシーンは、

 

まるでプーさん達がうれしさのあまり「わ〜」「ゆづ〜!」と羽生選手に

いっせいに飛びついているように見えた。

 

66年ぶりの偉業を成し遂げた男にしてはなんともメルヘンチックな光景だが、

これこそ羽生結弦選手だといえるだろう。

この時点でまだ点数は出ていない。しかし世界ランク1位にふさわしい、

ため息が出るような美しい所作と、気迫のこもった素晴らしい演技だった。

 

「くまのプーさん」はディズニー著作権の関係で報道ではNGらしく、

「あのくまさん」と呼称している。「どのくまさんやねん!」と

パディントンやテディベア、リラックマやくまモンが怒ってきそうな案件だが、

くま「さん」と言えば、ディズニーのプーさんが代表権を持っているだろう。

 

「漫画の主人公にしても出来すぎなぐらい」「こんなに幸せなことはないと思っている」

本人も後でコメントされていたけれど、本当に漫画か、小説かというくらい

乱高下激しい、オリンピック2連覇だった。

 

主人公がさまざまな試練や困難に立ち向かい、最後は夢を掴む。

クライマックスの少し手前には、もうダメだと思わせるほどの大ピンチ。

しかし持ち前の精神力と不屈の精神でそれを乗り越え、ついに大団円を迎える。

 

そんな筋書きがどこかにあったのかというくらい、平坦な道のりでは無かった。

昨年3月、世界選手権で223.20の世界最高得点を出し優勝した際も

ショートプログラムではジャンプミスやスタート遅れで5位発進という波乱の展開だった。

時事☆放談『羽生結弦選手VSじぶん』

 

平昌オリンピックまであと4か月を切った2017年11月、大阪で練習中に右足首の靱帯を損傷。

5連覇のかかったグランプリシリーズや年末の全日本選手権も欠場し、

オリンピック日本代表に選出されたものの、出場が危ぶまれた。

懸命にリハビリを続け、本番1か月前にやっとジャンプの練習を再開、

ほとんど練習ができていないままオリンピック開幕を迎え、

まさにぶっつけ本番でショートプログラムに出場する。

けっして万全ではないはずだが見事な演技で首位となり、ファンは胸をなで下ろした。

そして翌日のフリー。圧巻の素晴らしい演技で66年ぶり2大会連続金メダルを獲得した。

 

演技が終わった後、割れんばかりの歓声の中、リンクにひざまずき

負傷した右足首と氷にそっと触れ、感謝を伝えている姿が胸を打った。

 

オリンピック2連覇がかかる中、かなりの重圧だったことが想像できるが、

開幕直前に重度の負傷をしてしまい、練習もほとんどできていないまま現地入り。

日の丸を背負い、期待を一身に受け、世界が注目する中、想像を絶するプレッシャーだっただろう。

 

それでも「(金メダルを)誰が取ろうが、僕もとります」と記者に答えた羽生選手。

金メダル後の取材で、あれは一種のメンタルコントロールだったと話した。

近年スポーツとメンタルコントロールとの関係の重要性が重視され、

アスリートにはメンタルトレーナーが付いて、コーチングを受けていることが多い。

心技一体というが、身体的なトレーニングと、心理的なそれは同じくらい重要なのだ。

 

個人競技は自分との戦いと言われるほど、自分と向き合いモチベーションを維持して

実力を発揮することが必要になる。

 

不安や緊張に飲まれないように自分を律する。

得点を許した際、平常心で気持ちを切り替える。

落ち着き冷静に、なおかつ闘争心を絶やさない。

 

これらは心の中にある自身の問題だ。

 

「私は成功する。必ずできる」と自分に言い聞かせるアファメーションや

「私は成功した」「成功したシーンが浮かんでいる」と既に体験したように

自分を信じ切ることで実際に成功を引き寄せる心理学的な手法、メンタルコントロールがある。

 

国内でTリーグがいよいよ始まり、オリンピックと同時期に行われていた卓球・チームワールドカップでも

張本智和選手や石川佳純選手とみう・みま・ひなの若いトリオ選手の

活躍がめざましいが、卓球は心理戦が非常に重要なメンタルスポーツといわれている。

 

チームプレーであってもバスケットボールのフリースロー、

サッカーやラグビーののPK、野球のピッチャーもそうだが

個人プレーが試合を決める大事な局面があり、その瞬間選手は自分一人、孤独に戦わねばならない。

 

大事な局面で自分の持てる能力を発揮するために必要な精神力、

それを制御するのがメンタルコントロールだといえる。

SNSの発達で知らない人と意見を交わしたり仲良くなったりと便利になった面もあるが、

匿名の批判や中傷が簡単に発信され、スポーツ選手がそれを目にしてしまう機会が増えた。

政治家や芸能人であれば公人であったり有名税であるともいえるし

それによって注目を集めることができる利点もあるだろう。

 

しかし一生懸命に練習をし、自分と向き合い試合に臨むスポーツ選手に

気軽な気持ちで批判や中傷をするのは誰も幸せにならないことだ。

誰かが賞を獲ったり話題になると必ず私は嫌いだとか

アンチを気取る人が出てくるけれど、匿名の時点でカッコ悪い。

わざわざSNSでカーリング娘の選手達のことをうざいだとか、勘違いするなとか

書く人の神経が理解できないし、皆が賛辞する中毒を吐いちゃう私、

というやり方で承認や優位を保ちたいのが透けて見えてしまう。

わざわざ人を傷つけて試し行為。…反抗期か!

 

 

発信者が匿名なのが気味が悪く、いっそう悪意の度合いを増す。

見知らぬ誰かかもしれないし、隣のいつもにこやかなあの人かもしれないからだ。

これから我々はそういったものに心を乱されない精神力、メンタルコントロールが

さらに必要になるだろう。

 

羽生選手の23歳とは思えないしっかりとした受け答え、落ち着いた風格、

試合で見せる凜としたたたずまいに何か武士道のようなものを感じるのは

僕だけではないだろう。

 

帰国後、外国特派員協会での会見で試合前のルーティーンについての質問に

「ベッドのシーツや枕をきれいにして部屋を出る。荷物の整理もきれいにして

心残りがない状態にしてから試合に行く」と答えた羽生選手。

 

武士は礼儀作法を重んじ、身の回りをきれいに心がけたという。

9歳から人生の全てをスケートに捧げてきたと明言する羽生選手。

その中で身についたこころがまえ。まるで戦に出る武士やん! と思ったし、

身の回りがきれいな人は心の整理ができている人。

メンタルコントロールが行き届いている証拠でもあるだろう。

 

銀メダルの宇野昌磨選手も素晴らしい演技を見せてくれた。

「オリンピックだといって特別なことはなかった。いつもの大会と同じように

平常心を保って滑ることができた」という発言があったが、これは

彼なりのメンタルコントロールのひとつで、額面通りに受け取ってはいけないと思う。

これから宇野選手にはいやというほど銀メダリストとしての期待や重圧がのしかかる。

彼の飄々とした受け答えを面白がるマスコミはその路線を求めるだろう。

その負担を軽減するためにも有効な方法だと思う。

 

オリンピック精神という言葉があるが、今回のオリンピックで一番心に残ったシーンは

やっぱりスピード女子500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒選手が泣きじゃくる

銀メダルの李相花(イ・サンファ)選手を抱きかかえ、互いにねぎらいの言葉をかけあった場面だ。

胸が熱くなり、感動した。

 

試合数日前に李選手が、「小平選手と比較するのは止めてくれ」と話したという報道があったので、

長年のライバルキム・ヨナ選手と浅田真央選手のようにお互い意識していて試合前に

心を乱されたくないのだろうなと思っていた。

 

近年、虚偽と言える文章を添えた慰安婦像をソウルの日本大使館前に設置し、

世界中へも次々と乱立していることや、

国際合意したはずの2015年12月の日韓合意の撤回・追加要求に対して

2018年1月の世論調査で8割強の日本国民が「理解、納得できない」と回答した。

日韓関係は非常に冷え込んでおり、親北派の文在寅大統領が就任し、

北朝鮮と韓国の南北合同チームが結成されるなど、五輪の政治利用が問題視される中、

韓国チームもメディアも観客も、日本に対してあからさまに特別な感情をぶつけてくる。

それと同じような発言だと思っていた。

 

それが、小平選手がゴールし、五輪最高記録を出して日本応援団が大歓声に包まれる中、

次走の李選手が準備しているときに、小平選手が観客席に向かってくちびるに指を当て

静かにするように求める仕草を見せた。このときはあれっと思っただけだったが、

小平選手の金メダル獲得後、ふたりが抱き合い、その後日の丸と韓国旗を背に纏い

一緒に併走し観客に応える様子は、金メダル選手と銀メダル選手、日本選手と韓国選手の枠を超え、

日韓トップ選手の熱い友情と敬意をみせてくれた。

 

そのあと控え室でのふたりのInstagramでの配信「ナオはプルコギが好きじゃん!」や

メダリスト会見の席上で10年来の親友でいろいろな微笑ましいエピソードが次々に出てくるにつれ、

ああ、スポーツって素晴らしいなあという気持ちになっていった。

 

そもそも世界中が注目する中、人生で何度もないくらいの大舞台の場で、

普通の人ならただそこに立っているだけで舞い上がってしまうのに、

本番で落ち着いて実力を発揮しただけでなく周りの様子や人に気遣いが

できるだけの余裕があるって、なんと素晴らしいことだろう。

金メダルが決定する前にすでに号泣していた羽生選手も、

涙のきっかけは同じコーチの元で6年間、共に練習をしてきた

親友でありライバルのハビエル・フェルナンデス選手のメダルが確定したことだった。

フェルナンデス選手は五輪前から今季限りでの引退を表明。

このふたりの強い絆も、私たちの胸を熱くしてくれた。

 

ちなみに李選手は悔しくて泣いたのではない。自身も連覇がかかっており、

故障で引退も考えた中での出場だった。以前小平選手が負けて泣いているときに、

李選手が寄り添って一緒に泣いてくれたという。

悔し涙では無く、やりきったという涙。

小平選手もそれを分かった上で、「重圧の中でよくやったね」と声をかけたのだ。

 

 

2018年3月2日、

日本政府が羽生結弦選手に国民栄誉賞を授与する方針と報道された。

 

想像を絶する緊張感の中、自分を律し、競技へ臨む現役選手への

国民栄誉賞を僕はあまり好ましく思わない。

授与の基準が時の政府の独断で、あいまいだということもある。

イチロー選手などは現役の間は辞退すると言っているが、様々な立場で

そう言いたくても言えない選手もいるだろう。

 

そもそも選手は現役の道半ばで国民栄誉賞を与えられ、同じモチベーションで

しかもハングリーさを保ってこれからも競技や自分に向かい合っていけるのか。

なんだか良かれと思ってこれまで以上に厳しく重たい十字架を

どや顔で背負わせてしまっているような気がする。

 

とはいえ。

日本人が世界で活躍し、メダルを獲ると純粋に嬉しい。

日の丸が掲げられ、君が代が流れる。日本人として誇りに思うし、

自分も頑張ろうと思える。こういうことが愛国心なのだと思う。

日本政府が偉業をたたえ、国として功労の気持ちを授与したいと考えるのも分からなくはない。

そして国民栄誉賞を受けるほどの選手なら、栄光を背負ってさらに競技人生を

続けていけるだけの能力と精神を兼ね備えていると信じている。

 

ちなみにこの日、報道では「羽生が勝ち、羽生が負けた」という見出しがあった。

将棋で国民栄誉賞を受賞したばかりの羽生善治竜王が藤井聡太五段に朝日杯で敗れたのだ。

なんとややこしい。

奥さんの(旧姓・畠田)理恵さんは大の羽生結弦ファンで

〈大怪我からよくぞここまで 王者が戻って来た。

日本の宝が無事素晴らしい演技を終えた! 美しかったです!〉

〈連覇! 連覇! 連覇! おめでとうございます この瞬間に立ち会えて、ありがとうございます。

悲しい涙と嬉しい涙で忙しい〉

とツイートしたこともさらにややこしいと話題になった。

 

羽生善治竜王に続き、羽生結弦選手も国民栄誉賞を受賞したら、さらにややこしいことになるだろう。

 

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2018-03-04 | Posted in 時事☆放談1 Comment » 

コメント1件

 alfonsotwr | 2018.03.08 16:56

Thanks so much for the post.Really thank you! Keep writing.

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